刀剣乱舞/Manus in manu~手に手をとって~
第20章 通じ合う心
エレベーターを降り、朝食バイキングがあるフロアに到着する。
途端に焼き立てのパンのいい匂い。
昨日の懇親会ではあまり食べられなかったので、お腹がペコペコだ。
「大倶利伽羅さん、美味しそうな匂いですね」
「そうだな」
グゥ~、キュルル…
「…」
「…」
「くっ…」
「…ッ!!」
お腹が鳴ってしまった…私のじゃないですよ、と誤魔化したいところだが生憎私しかいない。
恥ずかしすぎる。大倶利伽羅さんが珍しく肩を震わせて笑っている。
穴があったら入りたいとはこのことだ。
鶴丸…今こそ落とし穴をここに…と鶴丸の笑っている顔が頭に浮かんだ。
恥ずかしすぎて俯いて歩いていたら、転ぶぞと言われ大倶利伽羅さんに手を引っ張られた。
それからは恥ずかしさと緊張がピークに達してしまい、美味しいパンを沢山食べたはずなのにあまり覚えていない…只、ここでも大倶利伽羅さんがとても格好良かったのは頭にこびりついている。
ホテルをチェックアウトして政府の審神者専用地下駐車場に向かった。
駐車場の受付で審神者IDカードを提示して、自分の車が保管してある一角に到着し、車に近づくと車内灯がパッと点いた。
「勝手に点くのか?」
「はい、審神者IDカードに反応して、鍵も自動で開きます」
「凄いな…」