刀剣乱舞/Manus in manu~手に手をとって~
第20章 通じ合う心
「大倶利伽羅さん、お着替え終わりましたか?」
「あぁ」
今度はしっかり確認してから、洗面所から出た。
そして私は目を疑った。
なんということでしょう…
大倶利伽羅さんが!!
戦装束でも内番服でもない洋服を着ている!
薄ベージュのニットに、黒パンツ、そしてニットの裾から少し白いシャツが覗いている。
ごくごく普通の格好なのに、なんであんなに神々しいの?あぁ!神様だった…
格好良い!格好良い!
放心状態になっている私を見て大倶利伽羅さんが「変か?」って聞いてきて、「格好良すぎます…」と言ったら「そうか」と返された。
自分の着替えをキャリーケースから取りまた洗面所に戻る。
今日は私も洋服だ。気の知れた光忠と出掛けると思っていたから、適当にグレーのニットとベージュのスカートを持ってきたけど、こんなことならもっと可愛い服を選べば良かった…
光忠の『格好は常に整えておくべきだよ。いつ誰が見ているかわからないからね』という言葉が重くのしかかる。溜め息が出た。肝に命じようと思った。
後悔しながらもそれに着替えるしかなく、少しでも可愛くお化粧をして大倶利伽羅さんと一緒に朝食バイキングを食べに部屋を出た。
昨日も歩いた特段代わり映えもしない廊下なのに、今日は輝いて見える…
そんな気がした。