刀剣乱舞/Manus in manu~手に手をとって~
第20章 通じ合う心
どうしたらいいのか分からなくなっていると、少し間を置いてから私の左手首を掴む彼の右手が離され、その手が私の頬に添えられた。その手に力が入りグッと正面を向かされ強制的に大倶利伽羅さんと目が合った瞬間…
「え…っ」
大倶利伽羅さんの温かくて柔らかい唇が重なった。すぐ離されたそれは、触れるだけの優しい口付け…
そして、頬に触れていた手が離れた後は私の左手が大きな手に再度捕らわれる。
「おおくっ…ん」
名前を呼ぼうとしたらまた唇を重ねられて、更に考える隙を与えないかのように、角度を変えては何度も何度も啄むように口付けされた。
ちゅ、と音と共にやっと唇が離された後、熱を帯びた瞳に見つめられ、暫く彼から目をそらすことが出来なかった。
「…好きだ、ずっとこうしたかった」
とどめの一言を告げられて、強く抱き締められ、どうしようもないくらい自分の体が熱くなって、それと同時に胸が締め付けられた。
「好き…」
その言葉を再度口にした途端、想いが溢れてきて頬に涙が伝う。
叶わない…ずっとずっとそう思っていた。
大倶利伽羅さんに自分の気持ちを伝えられる日が来るなんて思ってもみなかった。
彼の背中に手を回して、全身で温もりを噛み締めた。
大倶利伽羅さんが…好き…大好き。