刀剣乱舞/Manus in manu~手に手をとって~
第20章 通じ合う心
頭が回らなくてすぐに理解が出来ずにいる私に、大倶利伽羅さんはフーッと小さく息を吐いた。
「分からないか?あんたを、女として好いている…と言っているんだ」
信じられない事が起こっている。頭の理解と心の整理が追い付かない…
私を女として好いている、と彼は確かに言った。
大倶利伽羅さんが私を想ってくれていた?
だから、紙を破って捨てたの…?あの審神者さんに連絡して欲しくなかったから?
この想いは一方通行だと思っていたのに…
顔を上げて大倶利伽羅さんの瞳を見ると、真っ直ぐこちらを見据えていて。
彼の腕の中にいるという事実と彼の熱が伝わってきて…
やっと…『現実なんだ』と思った。
「わたしも…大倶利伽羅さんの事、一人の…男の人として好き、です…」
「…っ」
辿々しくて、語尾も尻すぼみになってしまったけど、私も自分の想いを口にした。
それは決して口にする事はないだろうと、そう思っていた言葉…
「本当、なの、か」
「こんな事、嘘を言うはずが…ありま、」
言い終わらない内に再度強く抱き締められた。
想いが通じた…
正直まだ信じられない。確かめるように私もそっと、大倶利伽羅さんの背中に手を回した。
彼の体がピクッと動いたようだった…