刀剣乱舞/Manus in manu~手に手をとって~
第4章 約束
「…そ、そうですね…手入れ部屋に行って欲しくて嘘付きました。まさか舐める方を取るなんて思わないじゃないですか…」
「あんたは能天気すぎる」
「能天気!?…ひ、酷くないですか!?」
随分な言われように抗議すると、何故か溜め息を吐かれた。
「人の形をしているがここにいるのは付喪神だということを忘れるな。安易にやりたくも無いことを口にして、万が一相手が了承した場合約束を交わしたことになるんだ。最悪その言霊に縛られる」
「え…?」
言霊に縛られる?そんなことがあるの?
呆然としている私に、大倶利伽羅さんは舌打ちして更に言葉を続ける。というか彼がこんなに喋るなんて…珍しくて驚いてしまった。
「だから約束をしてしまうと取り返しがつかなくなる場合があると言っているんだ。気を付けろ」
「は、はい…」
「ここにはあんたを手篭めにしようとする連中はいないと思うが、用心に越したことはない」
神様との約束…
破ったら怖いことになる…そういうことを言っているんだろうか…あなたとなら死んでもいいとか、その気がないのに言ったりしたら本当に死ななきゃいけなくなるとか…?
極端な話だけど途端に少し怖くなった。
「私大倶利伽羅さんの腕舐めるって約束しちゃったんですか?舐めなきゃですか?」
「…約束はしていない」