刀剣乱舞/Manus in manu~手に手をとって~
第4章 約束
「だ、だからっ手入れしないなら私が舐めるって言ってるんです!だって舐めときゃ治るんでしょう?さっき大倶利伽羅さんがそう言ったんですからねっ傷が治るならいくらでも舐めてあげます!」
大倶利伽羅さんは私の言葉に目を見開いている。
よし、動揺している!まさか舐めるって言い出すとは思ってもみなかっただろう!これでやむなく手入れ部屋に行くことを選ぶに違いない。私は内心ほくそ笑んだ。
「舐められたくないですよねっ!だから手入れ部屋に行きましょうか」
さあさあと言いながら資材庫を出て行こうとしたら、腕を引っ張られ引き戻された。
驚いて大倶利伽羅さんを見上げると、スッと腕を私の目の前に差し出される。
「ん??」
「舐めるんだろう…」
「…っ、…………はあっ!?」
素頓狂な声を出し、何を言ってるんですか?この人は、とばかりに大倶利伽羅さんの顔を見ると、彼は仏頂面で私を見下ろしていた。
ご丁寧に傷が見えるように袖を更に捲り上げ、立派な龍の彫り物が私の目の前にある。そして肘の少し上に小さな切創。
「いや、舐めませんよ…」
「あんたは嘘つきか…」
え?何故そうなるの?と思いながらもそう言われたら、舐める気は更々ないのに舐めるって言っちゃったから、嘘になるのか…?と思った。