刀剣乱舞/Manus in manu~手に手をとって~
第20章 通じ合う心
私はなんということを口走ってしまったんだろう!大倶利伽羅さんが吃驚して固まっているではないか。
「…」
「…」
一緒に寝ましょうなんて言ってしまって、もしかしたらはしたない奴だってドン引きされているのでは…
――沈黙が怖い。
何でもいいから話題を振らなければと思うものの、こんなパニクっている頭じゃ何も出てこず…
一人で泣きそうになっていたら、少し困惑した表情の大倶利伽羅さんが口を開いた。
「…いいのか?」
「うえ…?」
「だから…いいのか?と、聞いているんだ」
「は、はい、いい、です」
大倶利伽羅さんは、小さくため息をついてベッドの中に入った。
よ、良かった…
ベッドで寝てくれるんだ。
あの椅子じゃ絶対寝れるわけがない。そんなことさせる訳にいかない。かといって護衛のための同室なのに、顕現を解く訳にもいかないし…
これで良かったんだよね?
洗面所でコンタクトを外し、失礼しますと言って私もベッドの中に入った。そしてなるべく端っこの方に身を寄せる。大倶利伽羅さんも考えてる事は同じのようで端っこにいる。
うん、大丈夫。あとは寝るだけだもん…
「電気…消しますね?」
「あぁ」
「おやすみなさい」
「…おやすみ」
ベッドに備え付けられているスイッチをパチンと押し、電気を消した。
入口近くの足元の常備灯に加えてカーテンが開いたままなので、夜景の光と月明かりで部屋の中は真っ暗ではなく、仄かに明るい。
心臓が相変わらずドキドキしていて、早く寝なきゃと思いながらも気が気じゃなかった。