刀剣乱舞/Manus in manu~手に手をとって~
第20章 通じ合う心
しまった!!大倶利伽羅さんの色気の暴力に動揺して、ついとんでもないことを口走ってしまった!
前に乾かしてた事があったけどもう2か月近くも前の事だし、急にそんなこと言われたらびっくりするに決まっているのに…
慌てて失言してしまった事を撤回しようとしていたら「あぁ、頼む」と聞こえ、驚いて大倶利伽羅さんを見上げた。
「いいの、ですか?」
「風邪を引くんだろう」
「はい、風邪引いちゃいます!」
ホテルのドライヤーは洗面所に備え付けてあり持ち出せないので、急いでキャリーケースからドライヤーを取り出した。
「大倶利伽羅さん、ここ座ってもらえますか?」
近くのコンセントに差し込み電源を入れると、ヴィーンっという音と共に勢いよく風が出て、大倶利伽羅さんの柔らかい髪の毛がふわふわっと揺れ動く。
「なんか、…久しぶりですね」
「あぁ」
「その節は大変お世話になりました」
「背中の傷は治ったか」
「はい、跡形もなく!大倶利伽羅さんのおまじないのお陰です」
「…そうか」
「肩揉みも…します?」
「…」
あ、つい調子にのっちゃった。大倶利伽羅さん困ってるんじゃ…
考えなしにすぐ口に出してしまう自分が嫌になる。
「嫌だったらいいんですっ、今のは忘れて下さいっ」
「…嫌じゃない」
「え?」
「…」
「じゃあ、しちゃいます、よ?」
「…あぁ」
ドライヤーが終わったので、彼の肩に手を添えた。
あー、この感じ。本当に懐かしい。
あの時は数日だったけど、本当に幸せでずっと続けばいいのにって思っていたなあ。