刀剣乱舞/Manus in manu~手に手をとって~
第15章 大切な家族
「主、こちらで待っておりますので」
「一期さん、先に寝てて下さい、私は大丈夫ですから」
「いえ、こちらでお待ちしております」
トイレから少し離れたところで、一期さんは待っているといって動かない。心配ばっかりかけてごめんなさい…申し訳ない気持ちで一杯になり、すぐトイレを済ませて、一期さんの元へ戻った。
「主、温かい飲み物でも飲みましょうか」
「はい」
私が眠れないのをわかっているのか、一期さんはハーブティーを淹れてくれた。
「美味しい…一期さん、ありがとう」
「主はもっと私達に甘えてくださって良いのです」
「皆にこれ以上ないくらいに甘えてしまってます…皆が側に居てくれて、温かくて…本当に私は幸せ者ですね…」
「私も貴女が主でとても幸せです。ここにいる皆も、貴女がここに居てくれる事が幸せだと、そう思っておりますよ」
「い、一期さん…」
また涙が頬を伝う。一期さんが涙を優しくハンカチで拭ってくれた。凄い…ハンカチを持っているなんてさすがだ。泣きながらそんな事を思っていると、そっと抱き締めてくれて、背中をポンポンと優しく叩いてくれた。
本当に一期さんは、お兄ちゃんみたいだ…
「主、そんなに涙を流されますと、もっと目が腫れてしまいますぞ」
「青江にお岩さんみたいだねぇって言われた」
「それは酷い…ですな」
いつの間にか涙は止まっていて、二人で笑いあった。