刀剣乱舞/Manus in manu~手に手をとって~
第3章 勝手な行動
何度も何度もそんなことを繰り返しつつも、嫌がりながらも手入れを始めたら黙って大人しくしている彼に、散々説き伏せてきたつもりだった。
そして、最近はあまり無茶をしなくなったかな?と思い始めた頃…またしても彼は重傷で帰還した。
隊長の長谷部が撤退命令を下したのにも関わらず、無視して向かっていったらしい。それを止めた長谷部も不意に敵に切られ重傷を負った。
「どうしてっ!なんでそんな勝手な事するんですかっ」
「…」
「あれ程言ってきましたよね、大倶利「悪いが、どこで死ぬかは俺が決める。命令には及ばない」」
最近はそういうことはなかったから、もしかしたら私の気持ちが少なからず伝わったんじゃないかと思っていた。
なのに、なのに…そうじゃなかったの…?
冷たく言い放たれて目に涙が滲んだ。
見られたくないのに思いに反して涙はどんどん溢れ出る。
手入れが終わって隣のお布団で休んでいる長谷部が起きてしまう。泣き止まなくちゃいけないのに。
俯いて顔を見られないように手入れを続けていると、頬を伝い彼の膝にポタポタと涙が落ちてしまった。
「…なぜ、泣いている」
「な、泣いてませ…ん、ひっっく」
否定するも嗚咽が漏れてしまう始末で…
「…泣くな」
頬に温かい手が触れて、ぴくりと体が小さく跳ねた。