刀剣乱舞/Manus in manu~手に手をとって~
第49章 刀剣男士の苦悩と決断
再び深く一礼し静かに席へ戻っていく背中を見送りながら、胸がじんと温かくなった。――そして、ほどなくして…
「……主」
低く落ち着いた声。振り向かなくても誰か分かった。国広くんは、少し距離を取って立っている。
「少し、話せるか」
コクリと頷くと、彼は周囲を気にする様子もなく私の目の前で跪坐の姿勢を取り、静かに口を開く。
「……俺も、作戦中は部屋に籠っていた。……初期刀として本当は主の前に立つべきだったのに、すまなかった」
視線がわずかに伏せられる。彼も苦しかったのだろう。
「何度も側にいようか迷った。だが、あの状況で俺が側にいれば、何か一つでも言葉にしてしまう。覚悟を決めた作戦を俺が崩すわけにはいかなかった。それでも……何も知らない顔で主に接する勇気もなかったんだ」
国広くんは唇を噛み締め、拳を膝の上で握りしめた。彼の気持ちが痛いほど伝わってくる。
「…逃げたと思われても仕方ない」
「そんな事思わないよ…」
即座にそう言うと、彼は少しだけ目を見開いた。
「国広くんは逃げてなんかいない。私を守るために黙るって選択をしただけ。そうでしょう?」
「……そう言ってもらえるなら」
しばらく黙っていた国広くんは、ゆっくりと息を吐きそう言った。