刀剣乱舞/Manus in manu~手に手をとって~
第49章 刀剣男士の苦悩と決断
「……近い」
ふいに聴こえた声に顔を上げると、金色の瞳と目が合った。
次郎ちゃんの反対側の私の隣りでこちらをじっと見ていた大倶利伽羅さんだ。盃を持つ手は動かないまま、視線だけが真っ直ぐこちらを射抜いている。
「ん?ああ、一匹竜王かい」
次郎ちゃんは悪びれもせずにやりと笑い、更に距離を詰めてくる。最早抱きしめられているような体勢だ。
「今日くらいいいじゃないか。主を労ってるだけさ」
「…必要以上だ」
そう言いながら大倶利伽羅さんは私の腕を軽く掴んだあと、ぐっと自分の方へ引き寄せる。それにより次郎ちゃんの腕が自然と外れ、私の身体は大倶利伽羅さんに密着した。
次郎ちゃんはそれを見て声を殺して笑っている。
「くくっ、相変わらず分かりやすいねぇ」
「…黙れ」
「あの件が片付いてやっと主とイチャつけると思ってたんだろうけどさ、今夜はアタシ達に譲っとくれよ?」
「…ふん」
そのやり取りに、私も思わず小さく息を漏らして笑ってしまった。そんな時…
「…主」
少し硬い声に振り返ると、そこに立っていたのは長谷部だった。いつものように背筋は伸びているのに、どこか落ち着かない様子に私は思わず眉をひそめてしまう。