刀剣乱舞/Manus in manu~手に手をとって~
第49章 刀剣男士の苦悩と決断
まどろっこしいのは性に合わない。回りくどい事を重ねるより、最初からこうすればよかったんだ。
彼女を抱き寄せながら、扉の向こうに漂うあの女の気配を確かに感じていた。
だが――俺が彼女に意識を向けている、そのわずかな間にいつの間にかその気配は消えていた。
これで――賽は投げられた。
もう後戻りはできない。結果がどう転ぼうと、この選択の責はすべて俺が背負う。
大倶利伽羅side、終
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その夜――
審神者の部屋は静寂が支配していた。穏やかな寝息を立てる審神者の傍らで闇の底からゆらりと黒い影が滲み出す。
「……ようやく、この時がきた……」
娘の声に似た音色。しかしその声は、娘が持っている温かみが微塵も感じられない不気味なものだった。濁りきった怨嗟が、部屋の空気をどろりと歪める。
ゆらりと伸びた影が審神者の胸元へと手を伸ばす。その瞬間、空気が裂けた。
闇を断ち割るように飛び込んできた金色の瞳が月光を反射する。
「…そこまでだ」
低く、しかし鋭い声。今夜必ずや審神者の元に本体が姿を現わす、と確信していた大倶利伽羅は、この時をいまかいまかと待っていた。