刀剣乱舞/Manus in manu~手に手をとって~
第49章 刀剣男士の苦悩と決断
今資材庫にいるのはあいつだけのはずだ。俺の足も自然と資材庫へ向かう。――と、その時…後方からあの女の気配がした。
…やはり、近くにいたか
俺はわざと馬小屋の方へ進路を変えた。女も一定の距離を保ったままついてくる。
小屋に入ると、馬たちが嬉しそうに頭を上下に振った。しばらく何事もないようにブラッシングを続けていたが、女は中までは入ってこなかった。
恐らくあの女は、あいつが近くにいる時を見計らってわざと何かを仕掛けてきている。あいつの心を揺さぶるために…
ならば――俺とあいつが二人きりになった時、様子が気にならないはずがない。
俺は資材庫へ入り、音を立てぬようそっと鍵をかけた。そして中にいるあいつを探すと…脚立の上に上がったまま、声を殺して泣いている姿が目に入った。
「……ッ」
こうなるように仕向けたのは俺自身だ。それでも――あいつのあんな姿を目の当たりにして胸が痛まないはずがなかった。
俺は深く息を吸い口を開いた。
…
…
こいつを抱いているこの瞬間でさえ…あの女は扉の向こうで耳をそばだてている。
彼女の声を――たとえ女であろうと他の存在に聞かせるなど本意ではない。だが今は、隠すよりも聞かせるほうが効果がある。