• テキストサイズ

刀剣乱舞/Manus in manu~手に手をとって~

第49章 刀剣男士の苦悩と決断


包丁は、あの女の「俺への想い」を増幅させ、あいつの嫉妬や負の感情を力としている。

姿を現さないのは、まだあいつの心の隙がないから。だがその隙がなくとも怨霊の力が増幅した場合は…?

増幅させる負の感情、それは必ずしも「あいつの想い」である必要はないのではないか。


あの女の嫉妬でも、あの女の執着でも、包丁を引きずり出す“負”であるなら――


一か八かだ。もう躊躇している時間はない。そう思い俺はあいつを探した。


――どこだ


鍛刀場にはいない。広間にも、厨にも、書庫にも姿はない。短刀たちに声を掛けても「見てないよ」と、揃って首を振るばかりだ。

回廊をひとつ、またひとつと曲がりながら探し続け、気づけば馬小屋へ向かう道を歩いていた。風に乗って藁の匂いが鼻をかすめる。

その瞬間、小屋の扉がひらりと揺れた。


――そして、彼女がゆっくりと姿を現す。


肩や袖には小さな藁くず。どこか疲れ切ったようで、それでいて考え込んでいるような表情だった。あいつは俺に気づかないまま小さく息を吐き、空を仰いだ。


その横顔があまりにも寂しげで――胸の奥がじくりと痛む。


距離を保ったまま視線だけで追っていると、彼女はそのまま資材庫へと入っていった。


/ 1327ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp