刀剣乱舞/Manus in manu~手に手をとって~
第49章 刀剣男士の苦悩と決断
「いやぁ、あそこには面白ぇもんが多いからなぁ」
女の表情を見逃さなかった日本号が、徳利を回しながらすかさず口を挟む。
「この前なんざ、奇妙な事があったんだとよ。骨董市で見掛けた包丁がいつの間にか本丸にあってよ、後で探したがどこにも見当たらねぇって。……あれ、どこいったかなぁ」
声の調子はまるで世間話。けれど日本号の隣にいる蜻蛉切の眼差しが、その一言に反応してわずかに揺れる。女は一瞬笑みを止めたがすぐに盃を持ち上げ、柔らかく笑った。
「さぁ?包丁なんて似たようなのどこにでもあるじゃないですか」
「まあそうだけどよ。誰も何処にあるかわからねぇって言うもんだから気になるじゃねぇか」
「別に…誰かが捨てたのに分からなくなってるだけじゃないです?よくあることですよ」
しかし日本号は、わざと目を細めてもう一度呟いた。
「……あの包丁、どこにいったんだろうなぁ」
女の瞳が、ほんの一瞬だけ灯の揺れを映して濁った。蜻蛉切と次郎太刀はそれを見逃さなかった。笑う女の瞳の奥で、何かが蠢いた気配。
――だが、女はすぐに微笑んで言う。
「もう包丁の話題はいいじゃないですか。…ねぇ、もっと飲みましょう?せっかく楽しいのに」