刀剣乱舞/Manus in manu~手に手をとって~
第49章 刀剣男士の苦悩と決断
足音と一緒に、胸の中で何かが崩れていく音がした。
立っているのも辛くて部屋に戻ろかとも考えたが、部屋に閉じこもったとしても、悲しみがじわじわと体の隅まで染み込んでしまいそうで、耐えきれそうにない。
ふらふらと、覚束ない足が勝手に向かったのは馬小屋だった。
扉を開けると、日光が干し草の山を照らしていた。温かな匂いが満ちていて、ひんやりした空気が頬を撫でる。
幸い刀剣の姿はなく、ただ、馬たちの穏やかな息づかいだけがそこにあった。
一頭がこちらを見て、片足で地面をコツコツと掻き出す。その大きな瞳に見つめられた瞬間、心の奥がほどけるような気がした。
落ち込んだ時はいつも馬達に励ましてもらっていた。
両親が亡くなった時もここに来たっけ……あの時は大倶利伽羅さんがずっと傍にいてくれて、私をドン底から這い出してくれた。
何処に行っても、大倶利伽羅さんとの思い出ばかりが付き纏う。
なのに今は隣にいない――
「伽羅ちゃん……今何してるの――?」
大倶利伽羅さんの馬、望月にそっと手を伸ばすと、差し出した掌に馬の鼻先が触れた。湿った温もりがじんわりと伝わってくる。