刀剣乱舞/Manus in manu~手に手をとって~
第49章 刀剣男士の苦悩と決断
襖を開けようと、そっと手を伸ばしかけたその瞬間――
襖が、内側から開いた。
空気がわずかに動き、酷く甘い香りが鼻先をかすめる。
驚いて立ち尽くす私の前に現れたのは、乱れた衣服をかき寄せながら、頬を上気させたシーちゃんだった。
視線がぶつかる瞬間、彼女ははっと息を呑んだが直ぐ様勝ち誇ったような笑みを浮かべた。それから何事もなかったように私の横を足早に通り過ぎていく。
その後ろ姿が、夜気の中に溶けていった。
何が起こったのかすぐには理解できなかった。胸の奥が鋭い痛みを訴える。言葉よりも先に心が悲鳴をあげた。
開いたままの襖の隙間から、部屋の微かな灯りがこぼれている。
その光が眩しくて、怖くて、暫く一歩も動けなかった。
まるで、踏み出せば全てが壊れてしまうようで――
…
…
あれからどうやって私室に戻ったのか覚えていない。どうしてこうなってしまったんだろう…本来なら、隣に愛しい存在を感じている頃だったのに…
勝手に流れた涙がじわじわと布団を濡らす。
一度流れてしまった涙はそれからとめどなく流れていった。
「伽羅ちゃん……」
小さな声が部屋の静寂に吸い込まれていく。返事なんて来ないと分かっているのに、その一言を飲み込めずに、唇が震えた。