刀剣乱舞/Manus in manu~手に手をとって~
第49章 刀剣男士の苦悩と決断
胸のざわめきは時間が経っても消えなかった。
仕事の合間、ふとした拍子に、あの光景が脳裏に蘇る。
シーちゃんが背伸びして、彼が受け入れるように立っていた――あの瞬間。
思い出す度、胸の奥がぎゅっと掴まれたように痛んだ。
悶々としながら布団の中に潜り込むと、夜の湿気を吸い込んだそれは思いの外冷たかった。大倶利伽羅さんのいない部屋と布団は、こんなにも冷たくて残酷だ…
変わっていないはずの私室がやけに殺風景に感じる。
何も見たくなくて瞼を閉じると暗闇に包まれる。だけど暗い瞼の裏に映り込むのは、大倶利伽羅さんとシーちゃんがキスをしている姿だった。
瞼を閉じても嫌なことを思い出してしまい、冷ややかな痛みが胸を締め付ける。
違う…
あれは誤解だもん…
きっとシーちゃんが無理矢理…
そう思うものの、いくら無理矢理に迫ったところで力のある刀剣男士が、か弱い何の力も霊力もない女にされるがままになる?という疑問が頭から離れない。
本当に嫌だったら突き飛ばしてでも阻止するはずじゃ…?仮に女性だから手荒いことは出来ないとしても、それなりに回避できるはず。
大倶利伽羅さんは優しいから突き飛ばすことが出来なかっただけ…優しいから不意をつかれてしまっただけ…