刀剣乱舞/Manus in manu~手に手をとって~
第48章 忍び寄る魔の手
「……それなら薬研様が見てくれたのでもう大丈夫です」
「そっか…でも無理しないでね」
「少し捻っただけですし今はもう大丈夫ですよ。…というか、大倶利伽羅様って心配性ですね。歩けるって言ってるのにわざわざ私の事お姫様抱っこして薬研様のところまで連れて行ってくれたんですよ」
嬉しいけど照れ臭いというような表情をしながら話すシーちゃんの言葉に耳を疑う。
私はその一部始終を見ていたし、薬研くんからも聞いているから、シーちゃんが事実と異なることを言っているのがわかる。
シーちゃんの足元を見ると、捻ったらしい右足首は固定しているのか包帯が巻かれている。だけどどう見ても右足に負担をかけないように、片足重心をしているようには見えなかった。
シーちゃんの今の発言とこれを見る限り、薬研くんの演技だ、と言っていたことが本当なんだ、と嫌でも理解せざるを得なくなる。
「シーちゃん…急にここに居たいって言ったのは…何か理由があってのことなの…?」
「それって……私がここにいると迷惑って言いたいんですか?」
「っ、そう言う訳じゃなくて、急だったから何かあったのかなって心配になっただけだよ。もし、何か不安とか悩みがあるんだったら話してくれれば、と思って…」