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刀剣乱舞/Manus in manu~手に手をとって~

第48章 忍び寄る魔の手


あの子がそんなことするなんて…ありえない。思いやりがあって優しい子だってこと、ここ何週間も見てきた。

でも…だったらさっきのシーちゃんの態度は…?もし、薬研くんの言う通り本当に演技だとしたら、シーちゃんは何のためにそんなことを…?本丸に居たいから?だとしたら正直に言ってくれればいくらでも居てくれて構わないのに。

妙に胸騒ぎがする。心臓がドクンドクンと音を立てる中執務室の襖を開けると、そこは誰もいない薄暗い無機質な部屋だった。もしかしたらいつも通り何事もなかったように、シーちゃんが明日の仕事の準備をしてくれながら笑いかけてくれるのを期待していたのに。

恐らく、近侍部屋にいるんだろう。
少しの物音が聞こえただけなのに、随分と緊張してしまっている自分がいる。

何て声を掛けようかとあれこれ考え、冷たい畳に触れている足が冷え切った頃、漸く意を決した私は襖越しに声を発した。


「シーちゃん?ちょっといい…?」


近侍部屋の襖の前で声を掛けてみると、畳が擦れる音がした後暫くしてスッと襖が空いた。


「何ですか…?」

「足は大丈夫なの?気になっちゃって…」


部屋には入らずに敷居を挟んだまま問いかけると、シーちゃんはいかにも気だるそうにしながら口を開いた。


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