刀剣乱舞/Manus in manu~手に手をとって~
第48章 忍び寄る魔の手
「っ、大倶利伽羅さんと……シーちゃん…どーしたの?」
一部始終を見ていたことを悟られないように咄嗟に知らぬふりをして聞いてみると、大倶利伽羅さんが溜息混じりに答えてくれた。
「足を捻って歩けないというから今から薬研のところへ連れていく。それだけだ」
「大丈夫なの?」
「はい…心配かけてごめんなさい。あ、大倶利伽羅様が付いててくれるので審神者様は私に構わず仕事に戻って下さいね」
付いて行こうかな、と足を一歩踏み出そうとした矢先にそんなことを言われてしまった。まるで来ないで、と言われているよう。
歩けないって言ってたけど、足…そんなに酷いのかな…
心配だけど、大倶利伽羅さんが付いてるし薬研くんも看てくれるみたいだし、私がいなくてもきっと大丈夫だろう。
滞在延期の理由は落ち着いた時にでも聞く事にして、執務室に戻ることにしたはいいが…―
大倶利伽羅さんとシーちゃんが私の横を通り過ぎる時にシーちゃんとふと目が合った。すると、シーちゃんはスッと口角をあげた。その表情はまるで勝ち誇ったように笑っているようだった。
「…ッ」
何今の…?
初めて見る彼女の表情に思わず足が竦んだ。