刀剣乱舞/Manus in manu~手に手をとって~
第48章 忍び寄る魔の手
手を差し伸べられたシーちゃんは、パッと花が咲いたように喜び大倶利伽羅さんの手を取った。大倶利伽羅さんがぐっと力を入れ彼女を立ち上がらせた途端よろめいて…
「っ、あ……ッ!痛っ」
まるで抱きつくかのように大倶利伽羅さんの胸の中に飛び込むシーちゃん。わざとらしく見えたのは私の気のせい?
「足が痛くて…とてもじゃないけど歩けません…医務室まで連れて行ってもらえませんか…大倶利伽羅様…」
「ち、」
軽く舌打ちした大倶利伽羅さんだったけど、彼女を抱き上げ歩き始めた。
そんな光景を見てズクンと胸が嫌な音を立てたけど、私の気持ちは複雑だった。大倶利伽羅さんがシーちゃんといえども、他の女の人を抱っこするのは勿論嫌で仕方がない。だけど…歩けない彼女を見捨ててその場を離れる、そんな冷たい態度をとるのもちょっと違う気がしたから。
でも…
なんだろう…
今までの、一緒に過ごしてきた私が知っているシーちゃんならきっとここまで嫌な気持ちにはならなかったはずなのに…今の彼女を見ていると、とてつもない嫌悪感を覚える。
「あ、審神者様…」
そんなことを考えていると、いつの間にか大倶利伽羅さんとシーちゃんが私の直ぐ傍まで来ていた。