刀剣乱舞/Manus in manu~手に手をとって~
第48章 忍び寄る魔の手
小走りで大倶利伽羅さんを追いかけていたシーちゃんは、小石か何かに躓いて倒れ込んだのか、草木の間に隠れて見えなくなった。
心配になって駆け寄ろうとしたけど、切羽詰まったように発せられたシーちゃんの声が聞こえて、思わず駆け寄ろうとしていた足が止まった。
「…足が…待って、待って下さい…お願い、大倶利伽羅様っ!」
シーちゃんに構わず先の方をズンズンと歩いていた大倶利伽羅さんの足も、その声に反応したのかピタリと止まる。
「足を捻ってしまって立てません…お願いです、少しでいいので手を貸して頂けませんか……お願い…」
シーちゃんはポロリと一筋の涙を零しながら必死に大倶利伽羅さんに助けを乞うている。
周りには大倶利伽羅さんしかいないし、私が直ぐに彼女の傍まで行って大丈夫?って言ってあげれば良いことなのに、異様な雰囲気にタイミングを失ってしまってシーちゃんの前に行くことが出来なくなった。
盗み聞きをするつもりは全くなかったのに、何があったのか気になった私は壁に張り付き身を潜め、二人の行く末に目を見張る。
その後、大倶利伽羅さんは仕方ないといった風に、あからさまに顔を顰めながらシーちゃんの傍に行き手を差し伸べた。