刀剣乱舞/Manus in manu~手に手をとって~
第48章 忍び寄る魔の手
「え、そっち?……いや、伸ばしても構わないのだけど、急にどうし」
「じゃあいいって事ですね!じゃ、私ちょっと用事があるんで!」
「え、ちょっと!シーちゃん!?」
ええええ?どういうこと?
もしかして一人で暮らすのが寂しい?それとも怖くて不安になっちゃった?って聞こうとしたところに、シーちゃんが半ば強引に口を挟んで来た挙げ句、有無を言わさず部屋を出て行ってしまって、肝心の理由が聞けなかった。
向かいに座っている日向くんも走らせていたペンを止めて、呆気に取られている。
もう少し滞在したいのは私としては全然いいのだけど…
シーちゃんのあの態度がなんか引っかかる。
あんな強引に事を進める子じゃないと思っていたんだけど…
少し前にここを出ていくと私に話していた彼女の顔は、固い決意が感じられた。だからさっきのシーちゃんの物言いはどうしても腑に落ちない。もし何か悩みを抱えているなら遠慮せず言ってくれればいいのに…
一体どういう心境の変化なんだろう。
「あーるじさん!そんなに難しい顔してたらその眉間のしわ取れなくなるよ?」
「ぅあ˝っ」
急に聞こえた声に驚きの悲鳴をあげ俯いていた顔をあげると、乱ちゃんの可愛い顔が目の前にあった。