刀剣乱舞/Manus in manu~手に手をとって~
第48章 忍び寄る魔の手
急ぎ薬研くん特製の二日酔いに効くお薬をシーちゃんに届けて、朝餉が用意されている広間に行く。すると、次郎ちゃんや日本号、お酒に強い面々がやたら眠そうにしている姿があった。
席は離れているけど、見るからに遅くまで飲んでました、と言わんばかりのわかりやすい状況に、隣りに座ってきた近侍の日向くんと顔を見合わせてクスクス笑った。
「……御馳走様でした」
幸いそこまで体調が悪くならなかった私は、デザートも全て美味しく完食した。食べ終わった食器を運んでいるときに、ふとあの包丁の事を思い出し、厨の包丁が片付けられている引出しを開けてみた。
「…あれ、ない…?」
「主?どうしたの?何がないの?」
引き出しを目一杯開けて立ちつくしている私に疑問を持ったのか、日向くんが引出しの中を覗き込んでいる。
「…昨日買ってきたらしい新しい包丁がないなって…」
「包丁?」
「うん……あ、別に大したことじゃないんだ。誰かがまだ使わないからって別の棚にでも片付けただけだと思うからさ」
別に気にすることじゃないよね、と一人で納得して引き出しを閉めると、日向くんは暫し不思議そうな顔をしていたけど、直ぐに大して気にしていないような素振りになった。