刀剣乱舞/Manus in manu~手に手をとって~
第48章 忍び寄る魔の手
起きて、なんて言われる夢を見たから、てっきり寝坊してしまったのかと思ったけど、辺りはまだ暗闇に包まれていた。
時計を見るとあれから30分程度しか経っていない。そういえば、眠る前も何かが覆い被さってくるような感覚があったけど、今思えばあれも夢だったんだろう。
久々に両親が登場した夢は、審神者になる前の生活、学生時代よく起こされていた頃を思い出す。懐かしいなぁ。今はもうあの頃に戻りたいとは思わないけど、夢の中でもいいからまた会えたら嬉しいな、と思いを馳せながら再び目を瞑った。
…瞑ったはいいけれど、こうも何度も目が覚めると流石に眠れない。それにまた部屋がむせ返るような暑さで充満している。
この暑さは一体…?
いくらドアを締め切って寝ているといっても、流石にこの部屋の暑さは異常だ。とりあえず水でも飲みに行って、ついでに広間の様子も見てこようかなとベッドから起き上がった。
…―カサ
今度はちゃんと上着を羽織り、縁側をそろそろと歩いていると、庭の方で何か動く音がし思わず肩が跳ねた。恐る恐る辺りを見渡すと月明かりに照らされた人影が…
刀剣の誰かかな、と思いながら目を凝らすと、草むらの中にボーっと突っ立って月を見上げているシーちゃんがいた。