刀剣乱舞/Manus in manu~手に手をとって~
第48章 忍び寄る魔の手
広間の方から微かに音が漏れている。
どうやらまだ宴会は続いているらしい。数時間後には通常通り本丸を稼働するけど、こうなることを見越して酒豪組を編成から外してあるので問題はない。
少しだけ涼んでから戻ろうと縁側に腰かけると、一際強い風がぴゅうっと吹いて火照っていたはずの体が一気に冷えて鳥肌が立った。
「……さむっ」
やはり朝晩は冷え込む。
これ以上ここにいて風邪を引いてしまっては間違いなく大目玉を食らうだろう。歌仙の怒っている顔と心配している顔が交互に脳裏を過り早々に部屋に戻ると、ドアを開け放していたからか、さっきまで感じた暑さがなかったように部屋の空気は冷えていた。
少しだけ体温の残る布団にくるまって目を瞑っていると、直ぐに睡魔がやってくる。微睡の中、黒い影みたいなものが覆い被さってくるような重みを感じた気がしたけど、一切抵抗できないまま意識がすとんと途切れた。
(起きなさい……起きて…早く…――起きなさい…!)
「ん……ん……ぅ、………ッ!」
両親に起こされる夢を見て唐突に目が覚めた。
夢の中の両親は何故か寝ている私を揺さぶって、必死に起こそうとしていた。