刀剣乱舞/Manus in manu~手に手をとって~
第48章 忍び寄る魔の手
甘やかしてくれるのが嬉しくて、首に回した手に力を込めて抱き締めた。
「苦しい、少し緩めろ」
「やだ…」
「……酔っぱらいが」
そうこうしている内にあっという間に私室に辿り着いてしまった。
「着いたぞ」
「……」
もう着いちゃった…
もっともっとうーんと遠ければずっと一緒にいられたのに、と寂しさがこみ上げる。まあ、こんな事になったのは私が離れて過ごそうって提案したせいだから自業自得なんだけど。
私室で大倶利伽羅さんと二人きりになるのは、監査の前以来だから随分と久しぶりだ。酔っていることもあり、名残惜しくてベッドに降ろされる前に目の前にある彼の首筋にちゅ、ちゅと大胆にも唇を寄せると、彼の体がピクリと動いた。
「あんたな……そんなことしてこの先どうなったとしても文句は言えないからな」
「…ん、なぁに…?」
なんて言った?酩酊する頭では良く聞き取れず、大倶利伽羅さんの首筋から唇を離して見上げると、彼の顔が近づいてくる。
…あ、キスされるんだ、とわかり、私は微かに顎を上げて大倶利伽羅さんの唇を受け入れる。
瞼を閉じ、その熱に酔いしれるように口付けを交わしていると、私を抱っこしたままなだれ込むようにベッドに転がって、私の上に覆い被さってきた大倶利伽羅さんが、今度は貪るような口付けを繰り返す。