刀剣乱舞/Manus in manu~手に手をとって~
第48章 忍び寄る魔の手
「おい」
いよいよ夢の中へ…という寸前で聞こえた不機嫌そうな声に現実に引き戻される。
「こんな所で寝るな。部屋に戻るぞ」
「伽羅ちゃん?…う、ん…どぅしたの…?」
「どうしたのじゃない。飲み過ぎるなと言っていただろう」
「すまない、私が飲ませすぎたようだ」
褐色の肌が視界に映ったかと思えば、「立てるか」と聞かれ、うん、と答えると腰に手が回される。反射的に私も大倶利伽羅さんの首に手を回した。
抱き起こされて、そのまま地に足を付け歩こうとすると、見事にふらついた。
「あんたは全く…」
大倶利伽羅さんの私の腰に回されている腕にぐっと力が入る。
喧騒の中であちこちから聞こえる「おやすみ」と言う声を背に、大倶利伽羅さんに支えられながら広間を出ると、夜風が肌を掠めて少し意識がシャキリとする気がした。
支えてくれている大倶利伽羅さんに寄り添って私室に向かう。こうやって二人っきりになるの久しぶりだなぁ。
「歩けるか?」
「…歩けない……抱っこ…」
「甘えてるのか…それとも酔っているのかどっちだ」
「えへへ…どっちも」
「伽羅ちゃん…」そう呟きながら久々の大倶利伽羅さんの温もりに体をうんと寄せると、ふわりと体が浮いた。相変わらず軽々と私を横抱きする様子に胸が高鳴ると同時に愛しさが増す。