刀剣乱舞/Manus in manu~手に手をとって~
第48章 忍び寄る魔の手
「主の痛いという声で振り返ったら、手から血が出ていたから驚いてしまってね…つい止血のために…すまなかった」
「こっちも驚いちゃってっ、ごめんね、ありがとう…」
「それはそうとして…一瞬良くない気を感じたんだが…僕の気のせいだったみたいだね…」
「審神者様、どうして怪我なんて…?」
シーちゃんの問いに歌仙もはたと止まる。
「そうだ主。何故ケガするようなことを?」
「この包丁持った時に手を切っちゃった見たいなの、随分切れ味の良い包丁だったみたいで…ってあれ?」
手元をみるとさっきまであった包丁がない。それどころかついさっきまでそこにあった木箱すらも見当たらなかった。
「さっきまであったんだけど…おかしいな…どこいっちゃったんだろ」
「誰かが持っていったのかも知れないね、こんなに人が集まっているから、刃物目当ての人も沢山いるだろうよ。それより主、安易に箱から鋭利なものを取り出したりしては危険だろう」
「う、ん…ごめんなさい」
そう言われれば、ここは骨董市だ。
何かお目当てがあって来ている人もいる訳だから、さっきまであった包丁をお買い上げしたいと持って行った人がいたとしてもなんら不思議な事ではない。