刀剣乱舞/Manus in manu~手に手をとって~
第48章 忍び寄る魔の手
「えっ、何それ!直接響くって…ちょっとというかかなり怖くないですか?」
「あ、いやっ気のせいかなっ!シーちゃんは聞こえなかったんだもんねっ!それに何言ってるのかも全然わからなかったし単なる耳鳴りかも!」
「私には聞こえませんでしたけど…本当に大丈夫ですか?耳鳴りってもしかして人混みに酔っちゃいました?なら早めに帰、」
「ごめんっ大丈夫大丈夫!変なこと言って本当にごめんね!多分気のせい!…私ったら恥ずかしい!あはは」
笑いながらシーちゃんに言うと、彼女は心配そうに私を見た。
せっかく歌仙とシーちゃんが骨董市に行きたいって言うから来たのに迷惑なんてかけられない。歌仙の事だ、本気で心配して帰るとか言い出したらそれこそ台無しになっちゃう。さっき来たばかりなのに。
気のせい気のせい、と思いながら目の前にある食器に目線を落とす。この食器手ごろな値段だし数も揃ってる。予備として買って帰ろうかな…
(ここ……)
(ここじゃ……)
(はよう………の元に……はよう……)
「!」
また聞こえた?
他の人の声に混じって何を言っているかまではわからなかったけど、今度こそ本当に何か聞こえた気がする。