刀剣乱舞/Manus in manu~手に手をとって~
第48章 忍び寄る魔の手
「うん?綺麗だとは思うけど、価値のあるものかどうかは私にはちょっとわからないなぁ…」
「蝶と花の絵で飾られたこの美しい壺をよく見てごらん?強さと繊細さを同時に感じさせる素晴らしい一品だ。この色も深みがあって気品がある…正に風流という言葉がぴったりだと思わないかい…これくらいは主でもわかるだろう?」
「な、なんとなくは……」
苦笑しながら話を聞いていると話し声に混じって耳に直接届くような、そんな声が聞こえてきた。
(やっとみつけた………)
(ここじゃ…)
(ここじゃ…)
きょろきょろと辺りを見渡してみるけど、私を呼んでいる素振りの人は見当たらない。それどころかこっちを見ている人さえ見当たらない。
なんだったんだろう…空耳かな、と思っているとシーちゃんが不思議そうに声を掛けてきた。
「審神者様、難しい顔してどうかしました?」
「あ…なんか声が聞こえて…シーちゃん聞こえなかった?」
「声ならそこら中から聞こえますけど、それじゃなくてですか?」
シーちゃんの言う通りここは骨董市で人が沢山集まっている。大人の声に混じってたまに小さな子供の声も聞こえる。でもさっき聞こえたのは…もっと……なんか…
「耳に直接響くような声だったの…」