刀剣乱舞/Manus in manu~手に手をとって~
第47章 一人の少女
こんなことなら恋仲だということを最初から伝えておけば良かったな…変に隠さなければ良かった、と思う自分がいた。
かといって今更恋仲だって言うと、私の彼氏に手を出さないで、って言ってるような気がして…言いづらい。
もやもやする胸の内を隠しながら数日が経過した。
その日の夕餉は収穫した白菜と長ネギが沢山入ったお鍋を皆でつついていると、隣に座ってきた乱ちゃんが私にこそっと耳打ちする。
「ね、あるじさん。ちょっと気になることがあるんだけど……あの子、大倶利伽羅にホの字なんじゃないの?」
思いも寄らぬ言葉にギョッとして、そう遠くない場所に座って同じく鍋をつついているシーちゃんに視線を向けるも彼女は全くこっちの話は聞こえていない様子で取り合えず安堵した。
そして彼女に聞こえないように声のトーンを落として話を続ける。
「……やっぱり…乱ちゃんもそう思う?」
「うん。すぐわかるよ?だってあの子、大倶利伽羅のこと見かけるたびに目輝かせて女の表情になるんだもん」
「そ、そっか…」
「皆気付いてるんじゃないかな…でも今のところ言い寄ったりしてる感じではないし放っておいてるけどね」
「そうなんだ…」
「まああの竜王があるじさん以外に目を向けるなんてことありえないし?ボクは心配はしてないよ?」