刀剣乱舞/Manus in manu~手に手をとって~
第47章 一人の少女
好き……
本当は今すぐ大倶利伽羅さんのところに走っていって抱きつきたい。
…けど我慢だ…シーちゃんがちゃんとこの本丸を笑顔で去れる日まで。
でも寂しいなぁ。
こんなことなら秘密にしよう、なんて言わなければ良かったかな。
はぁ、と思わず溜息が出そうになった時、シーちゃんはくすくすと笑っていた。まさか私達の仲がばれた?抱き着きたいって表情に出てた?と一瞬ひやりとする。
「どうかした?」
「口下手なんだな、って思いまして…」
「大倶利伽羅さん?あ、それで笑ってたんだ」
すると、シーちゃんは先に歩いている大倶利伽羅さんの方に視線を向けながら呟いた。
「大倶利伽羅様って無愛想なイメージでしたけど凄く優しいんですね…あんな表情…初めて見ました…」
「あ、うん…そうだね。まあ彼に限らずここにいる男士達は皆優しいよ…?」
「それもそうなんですけど…他の本丸の大倶利伽羅様より、この本丸の大倶利伽羅様の方が穏やかな気がします…街ではほとんど見かけない刀剣男士だったので、これは私の勝手な意見なんですけど」
「まあ、彼は人混みが嫌いだからなかなか街には行ってくれないというか……」