刀剣乱舞/Manus in manu~手に手をとって~
第47章 一人の少女
シーちゃんは突然の出来事に戸惑いを見せるも、すぐさま嬉しそうな表情を見せる。
「ありがとうございます!」
彼女の礼には大倶利伽羅さんは何も返さず、彼女の籠を持ったままシーちゃんとは逆側の私の隣に並んだ。
「大倶利伽羅さん、今日の夕餉はかぶづくしって光忠が言ってたよ?」
「これだけ採れればそうなるだろうな」
「うんうん!かぶの味噌汁に、かぶまるごと使った肉詰め、あとね、かぶの葉のごま和えだって!かぶの浅漬けもって言ってたかな?とにかく楽しみだね!」
光忠の作るご飯が楽しみすぎてつい大倶利伽羅さんにいつもの口調で話し掛けると、大倶利伽羅さんは私をみてふ、と笑った。
「食い意地は健在だな」
「だって楽しみだもん」
「ふ……だろうな。先行ってる」
「うん、わかった。えっ?あっ!?」
「貸せ」
「だっ大丈夫?」
「問題ない」
「ありがとっ」
私が持っていくつもりだった籠も取られてしまった。
大倶利伽羅さんはシーちゃんから受け取った籠と私が持っていた籠をそれぞれ片手に軽々と抱えて歩き出す。結構、いやかなり重たかったのに流石だ。そして相変わらずの優しさに胸の内がきゅんとした。