刀剣乱舞/Manus in manu~手に手をとって~
第47章 一人の少女
何の苦労もしてなさそう…か――
確かに…彼女の言う通りなのかも知れない。
興奮状態の彼女がやっと落ち着いて眠ったあと、客間を出ると長谷部がなんとも言えないような複雑な顔をして立っていた。
「長谷部?どうかした?」
「……主、これからどうするおつもりですか?」
「うん、とりあえずはこんのすけに聞いてからになるけど、暫くこの本丸で預かれたらと思ってる」
「………俺はあの女が居座るのは反対です」
「え……急にどうしたの?」
「いくら酷い目に合ったからと言って主にあんな無神経なこと…っ俺は許せません」
「っ、聞いてたんだ……でも……だからといって放っておけないよ。私なら大丈夫だし、彼女もあんな事言うつもりじゃなかったと思うの。きっと急にこんなことになって混乱してるんだと思う。だから…まだ何とも言えないんだけど、もしこの本丸で預かる事になったら、長谷部も力になってあげて欲しい…」
「ですが、」
「私のときも皆のお陰で救われたの。…だから……お願いします」
「…っ、…わかりました」
「長谷部……ありがとう。じゃ私こんのすけに聞いてくるね」
腑に落ちない、というような顔をしていたけど、それでもきっと長谷部は彼女をないがしろにするようなことはしないだろう。