刀剣乱舞/Manus in manu~手に手をとって~
第47章 一人の少女
「はい…ありがとうございます」
「ね、本当に頭上げてっ…もしかしたら力になれないかも知れないし…」
政府に駄目と言われたら私は何も力になってあげられない。望みが少ないのにこんなに頭を下げられたらどうしていいかわからなくなってしまう…
「審神者さんは…いいですね……」
「え?」
「羨ましい…」
少し棘があるような声でポツリと聞こえた言葉に、気のせいかなと彼女の顔を見ると、唇がふるふると小刻みに震えていた。
「あんなに優しそうな刀剣男士に囲まれて…どうして私ばっかりこんな目に…合わないといけないの…ッどうしてっ」
「っ、……」
「私……子供の頃に父親が死んで、それからすぐに母親も男と蒸発しました……その後は親戚の家にたらい回しにされて。ずっと自分の居場所といえるとこがなくて、そんな辛くてどうしようもない時に、父方の祖父母が引き取ってくれたんです。こっちでの生活は時間遡行軍にいつ襲撃されるかわからない危険があったから決めかねてたけど、こんな思いをさせるくらいならもっと早くこうすれば良かった、ごめんねって…」
「そう、だったの……」