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刀剣乱舞/Manus in manu~手に手をとって~

第47章 一人の少女


きっと…夢じゃないかと、夢であってほしいと願いながら、それを確かめるために部屋を出て、行くあてもないまま廊下を歩いていたんだろう。

お雑炊を作った事を伝えると、お礼を言いそっと口にしてまた涙していた。


「食べられるだけでいいから、ね」

「……ありがとうございます」


ゆっくり一口一口噛みしめるように食べ、時折止まっては涙している彼女を見ていると胸が苦しい。
私がここにいるのは気まずいだろうか、立ち去ったほうがいいのだろうか、と考えていると彼女がポツリと言葉を零した。


「あの……暫くここに置いてもらえませんか…?」

「え……?」

「家もなくなってしまったし、帰る場所ももうない……祖父母がいなくなってしまった今は家族と呼べる人は他にいなくて。知り合いもいないし……お願いします…ずっととは言いません。少しの間でいいですから……だから…お願いします」


泣きながら深々と頭を下げる彼女に私は慌てた。


「やだっ、頭上げてっ!私は全然構わないから!…ただ、政府に確認を取らないといけないから、すぐには返事が出来ないのだけど…」

「…そう、なんですか」

「うん…でもなんとかお願いしてみるから待っててもらえるかな」


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