刀剣乱舞/Manus in manu~手に手をとって~
第47章 一人の少女
「うん、安定くんもありがとう……」
「ところで、何か用事でもあったのかな?」
「あ、うん……彼女ね、辛そうで……せめて温かいものでも食べたら少し落ち着くかな…と思ったんだけど、食欲なんて、ないよね…」
「あの娘さんのことかな?食べる食べないは別として、主がしてあげたいならそれでいいんじゃないかな。僕も手伝うよ、丁度終わったところだから」
「…歌仙、ありがとう…助かる」
歌仙と一緒に作った温かい卵雑炊をお盆にのせ、彼女がいる客間に向かう。
客間の前に付くと、襖が中途半端に開いている状態で、中を除くと彼女の姿がなかった。
「あ、れ…?どこに…」
あんな状態で一体どこに行ったんだろう。
布団の横にお雑炊を置いて急いで彼女の姿を探しに行こうと客間を出ると、おぼつかない足取りでこちらに向かってくる彼女の姿が視界に入った。
「だっ大丈夫!?どこに行ったのかと心配した…っ」
「ご、めんなさ…い。夢じゃないかと、夢だったらいいな…って…思って…外に出て……」
「とにかく部屋に戻ろう…ね、」
ふらつく体を支えようと、腰に手を回すと体が震えていることに気付いた。