刀剣乱舞/Manus in manu~手に手をとって~
第47章 一人の少女
どんな時でも私の傍にはいつも大倶利伽羅さんが居てくれて、この温かい手を差し伸べてくれる。
だから私は何があっても乗り越えられる。
でも…あの子は…?おじいちゃんとおばあちゃんの他に身寄りはいるのだろうか…もし、いないのだとしたら…
だとしたらどれだけ心細い思いをしているだろう。
私に出来ることがあれば出来る限りのことをしてあげたい。そんな一心で大倶利伽羅さんと別れた後、まずは厨に向かった。
厨には夕食の仕込みをしているお当番さんがスナップエンドウの筋取りをしたり、お出しを作っているよう。部屋一杯に出汁のいい匂いが充満している。とても安心する匂い…
出汁を作っている鍋の前に立っていた歌仙が私に気付き、持っているお玉を置いて距離を詰めてくる。そしてそっと私の目尻を撫でた。
「目が赤いね……泣いていたのかい?」
「…貰い泣きしちゃった…彼女を見ていたら……なんか思い出しちゃって」
「そうか……でも君には僕らがいることを忘れないで。……だから抱え込まずいつでも頼ってくれると嬉しい」
「そうですよ、主さんには僕達がいます」
堀川くんがそう言ってくれると、僕だっているよ、と安定くんが手を止めこちらを見ながら声を上げた。