刀剣乱舞/Manus in manu~手に手をとって~
第47章 一人の少女
「すぐに戻る。万が一何かあったら俺を呼べ」
頷く私に相槌を打ったあと大倶利伽羅さんは瓦礫の山を軽々と飛び越えて、姿を消した。
そして数分後、戻ってきた彼の腕にはダラリと垂れ下がった手足に全身傷だらけの娘さんが力なく抱かれていた。
…
…
「まだ、目を覚まさないのですか…?」
布団に眠る娘さんはうなされているようで、額に汗が滲み苦しそうにしている。
それを心配そうに見つめる短刀達。
幸い、あの後遡行軍と鉢合わせることもなく帰路につけた。
私たちが本丸に帰った後、万屋で起こった出来事を耳にしたのか血相を変えた刀剣達が走り寄ってきた。
私の無事を確認するや否や安堵の表情を見せてくれたが、大倶利伽羅さんの腕に抱かれている娘さんを目にするなり、本丸内の空気がざわつき慌ただしいものに変わる。
事情を話すと、娘さんを客間に運ぶことになった。
こういう時の粟田口の連携はすごく頼りになるもので、すぐに短刀達が客間に布団を敷き薬研くんが傷の手当てをしてくれた。
娘さんの額に浮かぶ玉の汗を拭きとりながら様子を見守っていると、眉を寄せながら硬く閉じていた瞼がようやく開かれた。