刀剣乱舞/Manus in manu~手に手をとって~
第47章 一人の少女
大倶利伽羅さんは間違っていない。彼の言うとおりだ。私というお荷物を抱えながら敵のいる所に行けだなんて無謀にも程がある…
大倶利伽羅さんだって怪我を負うかも知れない。そんなことになったら私だって嫌だ。耐えられない。
だけど、だけど…
どうしてもおばあちゃんと娘さんの笑顔が頭から離れない…!
すると、ピタリと大倶利伽羅さんの歩みが止まった。振り返った彼はとんでもない渋面だ。
「伽羅ちゃん…?」
「くそっ……あんたは全く………俺から絶対に離れるなよ」
ギュッと私の手を握った大倶利伽羅さんは、本丸へ向かっていた足を4番スクエアの方へと向かわせた。
「伽羅ちゃんありがとう…っ」
「様子を見に行くだけだ。危険があればあんたを優先するのは変わらない」
「うん、うん…わかった…」
現場に近付くにつれ、鼻をつくような血の臭いと纏わり付くような嫌な空気。
そしてさっきまで立ち並んでいた建物が見事に破壊され、瓦礫の山となっていた。大倶利伽羅さんは敵を避けながら目的地に向かってくれたのだろう、幸い遡行軍に出くわすことはなかった。
「伽羅ちゃん…」
「ああ…」
目の前に現れたあのお菓子屋さんは半壊していた。