刀剣乱舞/Manus in manu~手に手をとって~
第47章 一人の少女
日々の特訓は辛かったけど、そのお陰で持て余していた霊力で身を守る結界を張れるようになった。
だからこんな時こそ少しでも役に立ちたい。何かあったら結界で守ることだって出来る。それに、今こうしてる間にも彼女達が命の危機に瀕しているかもしれない。
私一人が行ったところで…とも思ったが、動かずにはいられなかった。
悲鳴をあげながら行き交う人をすり抜け、必死で走っているとガシリと腕を掴まれると共に大倶利伽羅さんの怒鳴り声。
「あんた何を考えているんだ!!俺から離れるなと言っただろう!!」
「……ッ」
大倶利伽羅さんのこんな大きな声は初めてで、思わず体がビクついてしまう。そんな私の様子にハッとした様子の大倶利伽羅さんだったけど、すぐに私の手を引き「勝手なことをするな」と言い歩きだした。
「っ、伽羅ちゃんお願い…様子だけでも見に行かせて?もしかしたら今この瞬間にも大変な目にあっているかも知れないの…だから、」
「断る。あんたを危険に晒す訳にはいかない」
「伽羅ちゃん…」
「何度も言わせるな。あんたの身に何かあったらどうする」
強く手を引っ張られ本丸の方向へと歩きながら彼の背中を見つめる。