刀剣乱舞/Manus in manu~手に手をとって~
第47章 一人の少女
大倶利伽羅さんが私の肩をしっかりと抱き、人波に押し潰されないように注意を払いながら出入り口の方へと誘導する。
大通りはいつの間にか人で溢れかえっていて、そこに居合わせた何振りかの刀剣達が人の流れに逆らいながら、時間遡行軍が侵入したとされる4番スクエアに向かっているのが見えた。審神者と思われる男の人も一緒だ。
その光景を見て、逃げようとしていた足が止まる。
私だって審神者だ。多少の結界なら石切丸さん達に習って使えるようになったし何かしらの役に立つかも知れない。
「おい、危ないだろう。いきなり立ち止まるな」
「ごめん、あのね伽羅ちゃん、私達も何か出来ることないかなっ」
「っ、馬鹿を言うな。俺はあんたから離れないからな」
「でも…っ」
「現場に向かったのは刀剣を複数連れている審神者だ。それに対して俺達は二人だけだ。俺はあんたを危険に晒すわけにはいかない」
「それは分かるんだけど…っ」
「今に政府所属の刀剣が来る、だから大丈夫だ」
『緊急警報!緊急警報!万屋街4番スクエアに……』
そうこうしている間にも繰り返し聞こえる警報音と危険を知らせる放送。