刀剣乱舞/Manus in manu~手に手をとって~
第47章 一人の少女
全て用事を済ませて、ふらりと入ったお店でかわいいぬいぐるみを見ている最中、急に何を思ったのか大倶利伽羅さんが私を胸に引き寄せた。
余りに突然の出来事で、手に持っていた狼の赤ちゃんのぬいぐるみがポトンと足元に落ちて転がっていく。
や、やだ…!
か、伽羅ちゃんったら人前で…っ!さっきはあんなに照れていたのに!急にどうしたの!?
驚いて大倶利伽羅さんを見上げると、やけに険しい表情をしている。何?と思ったのも束の間、ゾクッと背筋に嫌な悪寒が走った。
それと同時にけたたましいサイレンが鳴り響き、街のあちこちに設置されているスピーカーから耳を疑うような内容が鼓膜を突き抜ける。
『緊急警報!緊急警報!万屋街4番スクエアに歴史修正主義者・時間遡行軍の侵入を確認致しました。周辺の方は直ちに非難して下さい!繰り返します。緊急警報!緊急警報!万屋………』
それを聞いた途端、店内にいた人達が悲鳴を上げながら一気に店の外に出ようと出入り口に押し寄せる。通りを歩いていた人達も時間遡行軍が出現した場所とは逆方向へと走り始めた。
「伽羅ちゃんっ」
「大丈夫だ。俺が付いてる」