刀剣乱舞/Manus in manu~手に手をとって~
第47章 一人の少女
「えっ、試食出来るんですか?」
「はい、全部ではないですけど、この新作のケーキとかそこに並べられているクッキー等はご試食出来るようになっています」
「新作のケーキまで!?た、食べてみたいです…」
目に入った秋の新作と書かれたマロンタルトがあまりにも美味しそうでお願いすると、クスリと笑った店員さんは小さく切られたマロンケーキに爪楊枝を刺して私達の目の前に差し出した。
「ありがとうございます!美味しそう……ね、伽羅ちゃんも食べる?」
「…俺はいい」
手に取ったマロンケーキを大倶利伽羅さんの口元に持っていくと、照れているのか顔をプイっと背けられてしまった。二人きりの時は確実に口を開けてくれるのに、流石に外だとダメらしい…
じゃあ、と手に持っているケーキを遠慮なく自分の口に入れた。
その瞬間口の中にほっくりとした優しい栗の味わいが広がり、後からピスタチオとメレンゲの味わいがふわりと鼻から抜ける。
「美味しい…」
「ふふ…美味しいでしょ?それ、私の祖母の自信作なんです。私も手伝ったんですよ?といっても栗をこしたくらいなんですけど…」
「そうなんですか?」