刀剣乱舞/Manus in manu~手に手をとって~
第46章 政府の監査
慌てて手のひらで口を抑えると、少し不機嫌そうに眉を寄せて「あんたはしたくないのか」と聞かれた。
ずるい…そんな風に聞かれたら「したくない」なんて言える訳がない。そうやって尋ねたら断れないだろうって分かってて聞いてるんだ…
「伽羅ちゃんのいじわる…私がしたくないなんて思うはずないのわかってるくせに…!」
断わることが出来ず悪態をつくと、口を覆っていた手の手首を掴まれ離れた瞬間に彼の唇が優しく触れた。
てっきりガブリと喰らいつかれると思っていたから、触れるだけの優しいキスに拍子抜けする。
少し残念と思う反面ホッとしていると、大倶利伽羅さんの手が私の後頭部を支え、彼の顔の角度も変わった。
やっぱり大倶利伽羅さんは優しい口付けで終わらせるつもりはなかったみたいだ。
いつものおかえりの優しいそっと触れるだけの幼稚な口付けが、ぎゅっと抱き締められながら唇全部を覆うようにしっかりと重ねられ、徐々に甘やかに濃密さを増していく。
こんな口付けをされたら本当に大倶利伽羅さんを欲しくて堪らなくなってしまう…
「ん…っ…ね……だめ……っ」
なけなしの理性でやめさせようと開いた唇の隙間から、彼の濡れた舌が私の口内にぬるりと忍び込んで来た。