刀剣乱舞/Manus in manu~手に手をとって~
第46章 政府の監査
私が笑ったことで大倶利伽羅さんが険しげな顔をする。
だって大倶利伽羅さんが優しい。
あの夜、大倶利伽羅さんに迫られて断って、喧嘩別れではないけどそれに近い形で彼が部屋を出ていってからは、二人で話す時間も取れていなかった。
スプリンクラーでびしょ濡れになった時も全然話せなかったから、もしかしたら気分を害しているんじゃないかと気になっていた。だけど…変わらない彼の優しさと態度にホッとする。
恋仲になってからの彼は甘すぎると言っていいほど甘くて…一度懐にいれたものにはとことん甘い…そんな印象だ。
「伽羅ちゃんありがとう…あと、遅くなったけどお帰りなさい、無事帰ってきてくれてありがとう…」
「あぁ…ただいま」
「もう暗くなってきちゃった…ね」
気付けば外は大分日が落ちていて、灯りをつけていない書庫も薄暗くなっていた。
大倶利伽羅さんと二人っきりになるのは久しぶりだしもうちょっと一緒にいたいけど、戻らないと年配が変に思うかもしれないし、近侍も探しにくるかも知れない…
それに万が一こんなところ見られたら、あと一日で監査は終わりなのに最後の最後で印象を悪くしてしまう…少なくとも今はまだ仕事中なのだから。