刀剣乱舞/Manus in manu~手に手をとって~
第46章 政府の監査
「今起きた」
「そう、だったんだ…全然わからなかった」
というか、近い!
久しぶりの密着具合に、途端に顔に熱が集まり心臓が早鐘を打つ。彼に心底惚れている私はいつまで経っても些細な出来事一つで心臓が忙しくなるのは相変わらずだ。
「えっと、ファイル拾わなきゃ…」
離れようと思っても大倶利伽羅さんがガッシリ掴まえているので身動きがとれなくて、あまりの近さに恥ずかしくなり目を伏せた。
「あの……寝ちゃってて、お出迎えもせずごめんなさい」
彼の顔を見ずに、目を伏せたまま謝ると、穏やかな声が落ちてきた。
「気にするな、疲れていたんだろ。昨晩は遅くまで執務室の灯りがついていた」
気付いていたんだ…
確かに、監査になってから昼間は何かと他の用事が出来たりして日課の仕事を処理する時間がなく、夜にすることが多い。そのため必然と睡眠時間を押すことになり、寝たのが夜中の2時を回っていた。
「一人で無理しようとせず近侍に手伝わせろ」
「なんか申し訳なくて…」
「なんのための近侍だ。言えないなら俺に言え。俺がいくらでも手伝ってやる」
「うん……ありがとう……へへ……」
「何が可笑しい」